PROFILE

2015年入社。二度の在米経験をきっかけに海外文学にのめり込み、学生時代は翻訳にまつわる研究をしていました。入社後は文芸誌「すばる」に配属となり、小説や評論の連載を担当しながら、“教育”や“フェミニズム”といった社会的なテーマについて、文芸の観点からとらえ、特集号としてまとめ上げることに尽力しました。入社6年目の2020年夏から現在の部署に移り、単行本の編集を一から学ぶ刺激的な日々を送っています。

※メッセージは2020年11月時点の内容です。

01

私の仕事紹介

約30名の作家を担当しながら、おもに「すばる」「小説すばる」に掲載された小説などの原稿を、単行本化する仕事を行なっています。雑誌の部署では、半年先くらいの見通しを立てながら担当作家と進行中の原稿に集中していましたが、単行本の編集は、より長期的な計画のもと、作家はもちろん、校閲・販売・宣伝といった他部署の担当者と協働しながらものづくりをする感覚が強く、同じ文芸編集でありながらも、違いが新鮮でおもしろいです。どんなデザイナーに装丁を頼むのか、どんな書体で、どんな余白を作り、どんな佇まいの本に仕上げるのか……。担当編集として個別にクリエイティビティを求められる場面も多々あり、悩みながらも楽しんで業務に取り組んでいます。プロモーションの工夫が販売部数に直結しうる時代なので、作品をより多くの人に届けるための仕掛けづくりをしていけるよう、他社も含めた先輩編集者のお話を積極的にうかがい、勉強しています。

02

仕事の魅力

つねに答えのない問いと向き合えることが、この仕事の最大の魅力だと感じています。コロナ禍で世界中が大混乱に陥り、未来の予測がまるっきり不可能になったとき、1947年に発表されたアルベール・カミュの小説『ペスト』が各地の書店で在庫切れになったことは記憶に新しいと思います。ままならない現実に直面したさいに、その現実と重なる事態を描いた小説の言葉をたどることが、時空を超えて、多くの思考を支えました。答えがないからこそ人はフィクションを求めるのだと、小説の可能性や豊かさを改めて突きつけられ、つねに現実との接続点を見出しながら小説に携わってゆきたいと、背筋を伸ばしました。

SCHEDULE

10:00

出社。メールをチェックし、返信。こまめに行なわないと、大変なことに……。

11:00

入稿作業。令和に突入しましたが、この作業は昭和から変わっていないのでは(笑)。

紙にちまちまと赤字で指定を入れる、超絶アナログな入稿作業。時間はかかりますが、こういう手仕事は好きなほうなので、意外と苦ではありません。

14:30

作家と原稿打合せ。小一時間の予定が、盛り上がりすぎて数時間に及ぶことも。

お茶をしながらが多い作家との打合せは、脳フル稼働で大量のカロリーを消費します。糖分補給しましょうと、この日は追加でケーキを頼みました!

17:00

移動し、取材立ち会い。某女性誌のインタビューを受ける作家のアテンドをします。

19:00

原稿の精読&鉛筆入れ。改稿の提案を入れるのは、いつになっても難しいです。

20:30

帰宅。最近は外食を控え、自炊をすることが圧倒的に増えました。

03

入社後、変化したところ

「仕事の魅力」でお伝えしたこととも重なりますが、社会で起きているさまざまな事象に、積極的に、当事者意識を持って関わるようになりました。たとえばファンタジーや時代小説など、必ずしも現代を描いたリアリズムの小説でなくとも、読む人たちが(当たり前ですが)いまを生きている以上、物語はつねにいまと繋がり、現実を投影するものになると思っています。作家との打合せで、政治や社会の問題にまつわる意見を交わし、その対話がのちに作品に還元されることも少なくありません。小説に加えて、思想書やルポルタージュなど、関心を持ったテーマについて主体的に本を読み勉強することで、作家の皆さんの執筆に微力ながらも関われたらと思っています。