2021年秋よりデジタルメインへシフト!
生まれ変わった「Seventeen」の新しい挑戦と、創刊から続く、
変わらぬスピリットについて編集長に聞きました。
1990年入社、「Seventeen」へ配属。同誌編集長を8年務めたのちに、「LEE」編集長、ブランド統括を経て、2022年再び「Seventeen」編集長に就任。
集英社には「non-no」「MORE」「BAILA」「LEE」「éclat」と、年齢やライフスタイルに応じた、たくさんの雑誌があります。その中でも「Seventeen」は、10代の女の子たちをターゲットにした、一番若いメディアです。集英社の数ある女性誌の中でも、その時代の最先端のやり方に挑戦するのが使命、みたいな部分もあるんですね。そこで昨年秋から、デジタルメインのコンテンツを届ける形へとリニューアルしました。ただし編集部サイドの思いとして、「読者のライフスタイルに一番身近な形で、彼女たちが楽しめる情報を伝える」姿勢は、変わっていません。読者の方にお届けする内容は、ファッション、美容、学校生活についてなど、雑誌を中心にしていた頃から大きな変化はないんです。10代の子たちにとっては、SNSこそが身近なものですから、コンテンツを伝える方法が、紙だけだった時代から、より自然な流れでデジタルのほうへ広がっていった……という認識でいますね。
雑誌は「Seventeen」の出発点なので、そこはベースとして大事にしています。2021年秋のメディアシフト以降は不定期刊となっていたのですが、「やっぱり雑誌も読みたい」という声も多いんです。モデルさんを大きな写真で美しく見せるのも、やっぱり紙媒体ならではの魅力ですから。今後は、3月、6月、9月、12月と、春夏秋冬3か月ごとに、ティーンにしっかりと雑誌としての「Seventeen」も届けていく予定です。
デジタルコンテンツは毎日配信しているので、雑誌は季節ごとのお楽しみという立ち位置ですね。日々の情報はInstagram、TikTokなどのSNSやYouTubeなどで触れてもらい、雑誌ではモデルたちのビジュアルも含めて、スペシャルな世界観をつくっていけたらと思っています。
2022年の春には、モデルが出演する、青春ストーリーとダンスが楽しめる舞台『Bling Bling by Seventeen』も行なわれました。
「ティーンメディアが演劇の舞台を起ち上げて、専属モデルたちが舞い踊る」。一体何をやっているんだ? と思いますよね(笑)。これはもともと2020年から始動したプロジェクトで、「Seventeen」のテーマソングを、現役女子高生のシンガーが歌い、編集部内に発足した“Seventeenダンス部”のモデルたちが、踊るというものでした。
さらには「集英社 オレンジ文庫」というライト文芸レーベルからテーマソングの世界観を青春ストーリーにした小説を刊行。そしてこの物語を原作に舞台化された、というわけです。
舞台化までの過程はYouTubeで動画連載をしたり、毎年夏に行なわれる「学園祭」というイベントでダンスをお披露目したりしました。これはもう、本当にダンス部のモデルたちががんばってくれまして。もちろん最初はうまく踊れないですし、悩みや葛藤の連続。本当に学校の部活と同じですよね。そんな過程すら舞台の一部として読者の皆さんに見せていくことで舞台本番だけでなく、一緒にプロジェクトの一員になった感覚でモデルたちを応援しながら楽しんでいただくことができました。
演出も振り付けにも力を入れまして、超一流の方にお願いしたんですよ。
そうですね。舞台を行なったダンス部もそうですが、集英社らしく漫画部もあります。料理が好きな子は料理部とか。モデルそれぞれの個性が活かせる場所が増えたと思います。
私が入社した頃は、モデルと言えばファッションを美しく見せるプロ、というイメージがありました。「マンガやイラストとか、描けるのか?」という疑問もあったのですが、もうこちらの予想を超える画力を持ちつつ、デジタルツールを使いこなしていて。私のほうが驚きました(笑)。
そしていまは新たにはじまったデジタルアート部にも力を入れていて。これは「インテル Blue Carpet Project」という、若手のクリエイター育成の企画に参加をさせてもらっています。
2022年に開催された「学園祭」は3年ぶりのリアルイベントでした。2日間、計4回の公演を行なったのですが、「Seventeen」公式「TikTok」と「YouTube」、「RimiX」そして「ABEMA」と、全部で4つのプラットフォームからライブ配信を実施しました。「ABEMA」さんとはお互いのSNSで連携し、モデルたちのリハーサルから追いかけてもらい、イベントを盛り上げていきました。今回最大の見どころは最新デジタル事業に携わる社内のXR事業開発課とコラボをした、プロジェクションマッピングとXRテクノロジーを駆使したファッションショー。トータル44万人以上の方に配信を視聴していただけたので、雑誌時代に入社した私としては、「昔とは、ずいぶんと違う届け方ができるようになったんだなあ」という思いも抱きましたね。
そうですね。専属モデルは「Seventeen」の財産だと思っています。いまでも各分野で活躍している女性たちを輩出していますし、彼女たちにとってはじめてのお仕事の場が「Seventeen」ということも多いんです。とくに専属モデルの「ミスセブンティーン」のオーディションは、デジタルにも展開を広げられたことで、より一層盛り上がっているかもしれません。読者が誌面で見て投票する従来の方法から、SNSなどを通じて読者がファイナリストたちのがんばりや、素の姿に応援メッセージを送ったり、双方向のコミュニケーションに変化しています。
まずは圧倒的な存在感。これはいつでも、モデルの資質として変わらないと思います。そのうえで、個性でしょうか。自分自身の言葉で話したり、表現する力が強いというのも、モデルの活動や魅力の伝え方が多様になったいま、さらに大事な要素になるのではないかと思います。あとこれは時代やプラットフォームに関係なく「Seventeen」モデルとしての普遍的な要素かなと思うのですが、負けん気は強いほうがいいですよね。もちろん、他の子を蹴落とすという意味じゃないですよ(笑)。自分自身にストイックであれ、ということです。専属モデルオーディション自体が伝統あるもので、合格するだけでもすごいことだと思いますが、合格がゴールになってしまうのはまずい。「ここをスタートに、絶対にトップモデルになる」ぐらいの意気込みがある子に編集部は伸びしろを感じますし、彼女たちをサポートするノウハウを、私たちは長い時間をかけてつくってきました。
雑誌に愛があるけれども、それだけにとどまらずに、イベントだったり、動画だったり、いろんな表現の方法に興味がある人でしょうか。最初にお話ししたように、「Seventeen」は集英社の女性誌のなかでも、いつも新しい挑戦を続けている媒体です。いま、力を入れているデジタルメディアも、今後は日本国内だけではなく、世界に向けてコンテンツを発信するチャンスがあるかもしれません。集英社は出版社ですが、コンテンツビジネスという面では、無限の可能性を秘めている会社でもあるので、そういった点にも魅力を感じてもらえるとうれしいですね。
年に一度の「学園祭」は、読者にとってもモデルにとっても大切なイベント。イベント内容を決める企画会議からはじまり、当日はモデル楽屋の番人として奔走。モデルを目にして喜んでくださっているお客さんを見て、この日までの疲れが吹き飛びました。
雑誌の撮影日には、YouTubeやTikTokの撮影も同時に行なうことがほとんど。この日はモデルの質問返し動画を撮影。カメラの前にいるモデルにカンペを出しながら、STモデルの面白さを引き出す一手を必死に考えます。
紙の雑誌が年4冊の発行となり、その存在がさらに特別なものになりました。多くの作業がデジタル化しましたが、校了作業はいまだにアナログです。誤字がないか、一字一字念入りにチェックします。
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