vol.03 作品とキャラクターを世界中に! vol.03 作品とキャラクターを世界中に! vol.03 作品とキャラクターを世界中に! vol.03 作品とキャラクターを世界中に!

SPECIAL 03 SPECIAL 03

世界中に広がるコンテンツの可能性

原点は、集英社

これまで集英社から出版した数々の作品が
海外で人気となってきました。
そして時代の変化にあわせた新しい
コンテンツの届け方も生まれています。
作品やキャラクターを愛する世界中の方々が読者です。

SPECIAL INTERVIEW. SPECIAL INTERVIEW. SPECIAL INTERVIEW. SPECIAL INTERVIEW.
#01

集英社の
コンテンツを世界へ

作品・国・地域にあった丁寧な施策で

ライツ事業部 海外事業課 村野 啓太

海外事業課では、集英社が日本で刊行する作品をさらに広げていくために、世界各地の出版社などへ翻訳版の許諾をする版権ビジネスを行なっています。
私自身、学生時代にアメリカへの短期留学を経験したことで、異なる文化圏の人々に日本のカルチャーを伝えることに興味があり、集英社作品の読者を世界中で少しでも増やしたい、という気持ちで仕事をしています。

各国の海外版の見本。
様々な作品が翻訳されている。

現在私は、マンガについては韓国や東南アジアの地域担当をしており、海外出版社と一緒に日々、現地でのベストな作品展開方法を検討しています。やはり地域ごとに読者の趣向も書店の流通事情も異なるため、それらを考慮した地域に合った施策を固めることが、難しくもありつつ、やりがいを感じる部分です。
例えば韓国では、デジタル版の読者が多いことや、紙の本もネット書店で売れる傾向が強いことが特徴です。2022年4月にアニメ化された『SPY×FAMILY』は韓国でも同時期にアニメの配信がスタートしましたが、その影響を見越して、4~6月頃にデジタル版のキャンペーンを集中的に組んだり、各ネット書店向けに異なるコミックス購入特典を用意するなど、幅広い展開を強化しました。その結果、アニメ化前よりも飛躍的に韓国での読者を増やすことに成功しています。
海外でも熱意あるマンガ読者が数多くいることを実感していますし、近年は各地域オリジナルの豪華特典付き限定版の企画も多く仕掛けるなど、読者の満足度を高めるべく常に工夫をしています。

韓国での『SPY×FAMILY』特典。
地域性にあった特典で売り伸ばしをはかる。

韓国、東南アジア独自の限定版。
「限定」と言われると欲しくなるのはどこも同じ?

また、マンガだけに限らず文芸書などの書籍でも、例えば中国では『白夜行』をはじめ東野圭吾作品が大ベストセラーになっています。2019年には北京国際ブックフェアへ集英社ブースを出展し、それに私も中心的に携わるなど、書籍の翻訳版をさらに増やしていくために世界各地へ継続的な売り込みをしています。
集英社は世界に誇れるマンガや書籍を多数出版しているので、その魅力を海外に向けてより一層伝えていきたいと思っています。

北京国際ブックフェアでの集英社ブース。
集英社作品を現地書店にアピールする場。

#02

「ジャンプ+」の挑戦

日本と世界、同時ヒットを!

少年ジャンプ編集部
ジャンププラス副編集長
籾山 悠太

マンガ編集部の最も大切なミッションは、面白いヒットマンガを新たに創出することです。
そこで、私の所属する「少年ジャンプ+」では、「マンガの編集」と「デジタルサービスの運営」を両輪ととらえ、より多くの人気作を生み出すために双方をうまく機能させることを重視しています。
私が担当しているデジタルサービスの「MANGA Plus by SHUEISHA」(以下MP)は、海外向けのマンガ誌アプリ・Webサービスです。「週刊少年ジャンプ」や「少年ジャンプ+」などの連載作品を日本と同時に「全世界」「多言語(現在7言語)」で最新話を公開する、いわば海外版の「少年ジャンプ+」です。
昨今、あらゆるエンターテインメントのボーダレス化が進んでおり、日本のアニメ事業においては、すでに国内の売上より海外の売上の方が大きくなっています。
日本だけでなく全世界を対象に新しいマンガを立ち上げ、連載を世界中の読者に追ってもらいたい。世界で誰もが知っているキャラクターをもっと生み出したい。そんな思いで、私は「MP」を2019年に立ち上げました。

PC版「MANGA Plus by SHUEISHA」トップページ。
連載はもちろん読切も読める。

『ONE PIECE』の作品ページ。
日本と世界の読者が”ひとつなぎ”に楽しめる。

集英社の海外事業は、これまで関連会社や現地の出版社にライセンスを許諾して展開してもらうことが多く、集英社が直接、サービスを提供する経験がほとんどありませんでした。
そこで私は、海外に知見があり協力してくれる方との新たな出会いを探し、信頼関係を築くところからスタート。そうした周りの方々のおかげで、「MP」は無事にローンチし、現在も運営ができています。
結果、当初は50万人程度だったMAU(マンスリーアクティブユーザー)は、右肩上がりで増え続け、約600万人にまで成長しました。『ONE PIECE』や『チェンソーマン』などの人気マンガになると数百万もの海外読者が毎週最新話を読んでくれています。さらに、これまで海外ではアニメ化してはじめてそのマンガの人気が出るケースばかりだったのですが、『SPY×FAMILY』や『怪獣8号』のように、連載当初から全世界でヒットする例も増えてきました。いつか、国内の「少年ジャンプ+」と足して、全世界のMAUが1億人を超え、連載の更新のたびに全世界で盛り上がれる、そんな時代がくればいいなと考えています。

英語版『ONE PIECE』1話目。
当然擬音も翻訳される。

#03

「JUMP」を
世界的ブランドへ

神保町発、上海経由のグランドライン

集英万夢出向 阿相 道広

集英社で働くといえば、神保町で本やマンガをつくるというイメージかも知れませんが、ここでは、海外で会社をつくって、商店やカフェを経営することもできるのです。私は2019年から上海に住んでいます。中国でキャラクター商品を製造販売する、当初はそんなざっくりとしたミッションでした。

モノだけでなくコト消費も。
こだわりのつまったカフェの内装。

マンガ編集部に所属していたときはフランスや中国のマンガを連載したり、ライツ事業部では世界各地のマンガ・アニメイベントに参加したりしましたが、その後、国外に会社を立ち上げるプロセスを最初から担当するとは思ってもみませんでした。外務省や大使館で書類手続きをする、海外送金について銀行と打合せをする、というところから始まるわけです。3年前に株式会社バンダイナムコホールディングスと合弁で集英万夢(上海)実業有限公司を設立して渡航した後も、現地でははじめて経験することばかり。加えて一昨年からはコロナ禍というまったく予測不能の事態にも巻き込まれました。
そんななかで2020年7月にEC店舗「ONE PIECE航海王旗艦店」をスタート。中国オリジナル商品の企画開発、ライセンスの調整を進め、翌2021年12月には実店舗「SHONEN JUMP SHOP」を上海に開店。さらに2022年1月には「SHONEN JUMP CAFE」もオープン。いずれも話題沸騰、大盛況でまさにこれからという2022年4月、上海はまさかのロックダウンに。2か月間、ほぼすべての事業をストップせざるを得ませんでした。

そもそも中国にはマンガ雑誌「少年ジャンプ」はありません。しかし『ONE PIECE』、『NARUTO-ナルト-』、『鬼滅の刃』など、個々のタイトルは配信アニメで非常によく知られていて人気があります。アニメはマンガから生まれ、マンガは「少年ジャンプ」という雑誌が生み出している、このことを中国のファンにもぜひ知って欲しい、そして「JUMP」をDisneyやMarvelに並ぶ世界的なブランドにしたい、これが集英万夢の目標です。
店舗を再開し、苦境を乗り越えつつある現在、うれしいことに売上はV字回復を描いています。誰もやったことがないことに挑戦しつづける日々の舞台は、神保町から世界へ拡がっています。

所狭しとグッズが並ぶ「JUMP SHOP」店内の様子は
日本と変わらない。

上海、北京、成都。ご当地グッズへの購買欲は万国共通?

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