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文芸編集部T.Y.

書籍販売部S.K.

社員紹介

本をつくる文芸編集部、完成した本を売る書籍販売部、両者にはどんなつながりが??本をつくる文芸編集部、完成した本を売る書籍販売部、両者にはどんなつながりが??

2025年11月に発売された、ミステリー作家・道尾秀介さんの話題作『I』。
単行本編集・販売を担当した二人に、その舞台裏を聞きました!

  • 文芸編集部

    T.Y.

    文芸書副編集長

    2013年入社。大学では工学部で土木を学びました。入社後は8年間、文庫編集部でフィクション・ノンフィクションを問わず編集を経験。現在は文芸単行本の部署で、小説を中心に担当しています。じっとしていることが苦手で、会社では歩きながら原稿を読んでいます。休日はランニング、サウナ、お酒。旅行も好きで、とくによく行くのが、北海道、沖縄、韓国で、オフの日もあまりじっとできません。

  • 書籍販売部

    S.K.

    書籍販売第1課

    2019年入社。書籍販売部に配属され、文芸書と「オレンジ文庫」を担当してきましたが、2026年の6月より「集英社文庫」の担当に。気持ちを新たに、「集英社文庫」の売り伸ばしに集中しています。趣味は旅行とドラマ鑑賞。休日に国内外問わず旅行に出かけたり、部署の皆さんと最近観たドラマの感想を話したりすることが日々の楽しみです。

まずはふたりの部署や、仕事について簡単に教えてください。

T.Y.

文芸編集部で単行本をつくる仕事をしています。集英社には「すばる」「小説すばる」とふたつの文芸誌がありますが、そこで掲載した作品を書籍にするのが、私のおもな仕事。作家さんと一緒に本のデザインや帯の文言を考えるのはもちろんのこと、単行本化に合わせて改稿をお願いすることもあります。

S.K.

そうして完成した本の初版部数と本体価格を決め、書店でどうやって販売していただくかを考えるのが、私がいる書籍販売部の仕事です。店頭で書籍が目に留まるように、手に取ってもらいやすいように、宣伝部と一緒にPOPなど店頭用拡材を考えたりもします。

ふたりがチームになって進めたヒット作品に、道尾秀介さんの『I』があります。この作品は、どのように編集・販売していったのでしょうか?

T.Y.

『I』は「小説すばる」で連載された小説でしたが、連載前に著者の道尾秀介さんから「単行本にするときは、読者の読む順番によって結末が変わる1冊にしたい」と提案がありました。

S.K.

道尾さんは、すでに『N』という作品が、“読者の読み方によって720通りの物語がある”小説でベストセラーになっていたんですよね。

T.Y.

そう。『I』は続編ではないけれども『N』の兄弟版のような作品。かなり早い段階で、作品について、まずはS.K.さん、そして宣伝部の担当者に情報共有し、刊行時期などの相談を始めていました。

S.K.

『I』の販売戦略は、その3人がひとつのチームになって進めたものなんです。

編集部、書籍販売部、宣伝部と、3人とも部署が違いますよね。コミュニケーションはどうやって取ったのでしょうか?

T.Y.

メールやチャットでのやり取り、オンラインのミーティングもありますが、時間を合わせての対面での打合せも、結構やったよね。

S.K.

「あの件の続きだけど、ちょっと話せる?」と。3人ともフットワーク軽く、よく集まっていました。

T.Y.

S.K.さんは視野が広くて、数字にも強い! 相談しやすくて助かりました。

S.K.

『I』の場合、T.Y.さんから「書店での販促はもちろん、SNS上でのPRにも注力したい」とリクエストがありました。できるだけ早めに書店用の告知ポスターをつくって店頭で掲示してもらおう、TikTokでブックインフルエンサーさんに取り上げてもらおう、特設サイトもつくっては等々、いろんなアイデアを出し合いましたよね。

T.Y.

そうだったね。さらに販売部からは「著者に、書店用のサイン本や色紙を書いてもらえますか?」という提案ももらいました。

S.K.

そうなんです。道尾さんの作品は書店員さんにファンが多くて。『I』も、発売前から「どんな内容の小説になるんですか?」「プルーフ(PR用に制作する見本版)はあるのでしょうか」などの問い合わせがたくさんあったので、書店のご希望をうまく増売につなげていきませんか? と。

T.Y.

こうした販売部経由の書店のリクエストを、著者に確認するのも、文芸書編集者の仕事です。方針にOKをもらったら、そこからまた具体的になにができるかを考えたり……。

部署の垣根を超えたやり取りのなかで実現し、書店でも好評だったものはありますか?

道尾秀介さんの『I』の制作・販促物を並べた写真。単行本『I』、付箋が多数貼られた書店向けのパイロット版、前作『N』の集英社文庫版、オリジナルのスクラッチカード「運命のスクラッチ!」、作品の世界観をイメージした書店オリジナルブックカバーが木製テーブルに置かれている。

T.Y.

いろいろありましたが、『I』のためだけにつくった、オリジナルのスクラッチカードです。スクラッチを削ってもらい、出たタイトルから、お話を読んでもらうのはどうだろう? と。

S.K.

書店へは「ご自由にお使いください」とお送りしました。しおりのように店頭に置いてくださったり、『I』と共に展開してくださったりと、いろいろな形でご展開いただけて、好評でした! ほかにも、オリジナルブックカバーをつくりたいと書店側からリクエストがあり、これも編集部サイドに確認・共有。作品の世界観をイメージした素敵なカバーをつくっていただけました。

文芸書の編集・販売の仕事の面白みはどこにあると思いますか?

T.Y.

編集の立場では、著者と二人三脚で本を形にしていくこと。さらに販売、宣伝と社内で横につながりながら本を売っていくんですが、集英社の場合、想像以上にミニマムな人数でチームをつくって仕事をすることが多く、一人ひとりが意見を出し合いながら、作品に深く関わっていけるのがいいですね。

S.K.

書籍販売部は書店と、その先にいる読者の皆さんと一番近い部署なので、できあがったばかりの作品を広めて、その結果を数字で直に感じられる部分に面白みを感じています。

文芸編集部、書籍販売部にはどんな人が向いていますか?

T.Y.

ものがたりが好き! と言い切れる人、大歓迎です。そのうえで、文芸書編集者の仕事って、今回お話ししたような社内でつなげていく仕事も多かったりします。さらに同じ作家さんの担当者として、他社の編集者と連携を取ることも。小さいものから大きなものまで、コミュニケーションを楽しめる気持ちがあるとよいですね。

S.K.

販売は意外とアイデアや情報収集の力が大事かもしれません。数字やデータからイメージを膨らませる……というと難しい感じがしますが、「世界にひとつしかない作品を、より魅力的に届けるには?」と考え、それを仲間に共有できる人が向いている気がします!