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集英社文庫
続 ものがたり風土記
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あらすじ・概要
人の棲む所、必ず「ものがたり」がある。伝説、民話、童話、小説――人は「ものがたり」なしに生きられないものらしい。東北をかわきりに、北海道、広島、四国……前作で訪れ得なかった地を訪ね、ますますパワフルに検証&思索を続ける。A・クリスティやフランス文学の名作など、話題は西洋の作品や、物語論にも及び、汲めども尽きない。風土と「ものがたり」のかかわりを徹底的にみつめた傑作エッセイ。
第一章 つわものどもが夢の跡――岩手1(義経とハンニバル――〈奥の細道〉に見る衣川――東北の黄金伝説――三島由紀夫〈小説とは何か〉――〈遠野物語〉考――遠野市探訪――オシラサマと近親相姦――新田次郎〈寒戸の婆〉――長尾宇〓〈幽霊記〉)
第二章 平民感覚――岩手2(どんでん返し考――〈注文の多い料理店〉――花巻市の施設――大乗教的な経世感――〈鹿踊りのはじまり〉と〈よだかの星〉――銭形平次の故里――良識の人・野村胡堂――〈柳多留〉を読め――小説家のふしだら)
第三章 心を捜す旅――岩手3(靴のこころ――楽器のこころ――ボールペンの魔力――岩手県の特質――飢饉の名作――〈饑渇っ子〉〈南部牛追唄〉――死のがれ型のストーリー――岩手の地名縁起――石川啄木の略歴――神様が肩を叩く――岩手山と姫神山)
第四章 揺らめく水と筆――東京2(武蔵野を訪ねる――大岡昇平〈武蔵野夫人〉――スタンダールとラディゲ――“はけ”いまに残る崖線――森鴎外の遺書――禅林寺の二つの墓――森鴎外の歴史小説――小説〈堺事件〉への批判――時代のイデオロギー)
第五章 小説家の技――徳島1(阿波のストーリー・テラー――田野村の久兵衛――たね明かしの技術――〈アクロイド殺し〉はフェアか――藍作りと?――雪の雲辺寺――五味康祐〈自日没〉――史実かフィクションか――医師の良心――落人村のストーリー)
第六章 人はなぜ笑うのか――徳島2(木頭村の笑い話――落語の落ちを分類する――徳島の笑いと落語――焼山寺の由来――立江寺の無気味な伝説――姦婦の髪が逆立って――〈阿波の狸合戦〉――ユーモア戦記小説ですね――小松島の金長狸――巨大狸の滝)
第七章 義人と海賊――徳島3おつる巡礼歌――阿波十郎兵衛は何者か――木偶人形あれこれ――宇野千代と初代天狗久――人形師の記念碑――無用者モラエス――四国霊場一覧――ドイツ館を訪ねて――考古学者・鳥居〓蔵――清少納言の墓かな?)
第八章 海峡を越えて――北海道1(洞爺丸沈没――水上勉〈飢餓海峡〉――なぜ昭和二十二年か――函館大火のあとの怪談――七曲がり街道――水のある夜景――偉才の人・榎本武揚――安部公房〈榎本武揚〉――久保栄〈五稜郭血書〉――伝説は海峡を越えて)
第九章 さいはての魂――北海道2ストーリーと風土――大沼にY字路を求めて――三島由紀夫〈死の島〉――渡辺淳一〈リラ冷えの街〉〈阿寒に果つ〉――有島武郎とノブレス・オブリッジ――伊藤整と小林多喜二――和田芳恵〈雪女〉――吉村明〈羆嵐〉)
第十章 光り輝くもの――北海道3(鶴田知也〈コシャマイン記〉――アイヌとは?――金田一京助〈心の小道〉――萱野茂とユカラ――二風谷の博物館――アイヌの昔話――オロンコ岩――松浦武四郎記念碑――マッカウスの洞窟――武田泰淳〈ひかりごけ〉)
第十一章 海道の街――広島1(尾道の千光寺――志賀直哉と尾道――〈暗夜行路〉のあらすじ――豊年だ! 豊年だ!――三ツ首さまと三人の義賊――林芙美子と尾道――オイチニの薬――瀬戸内しまなみ海道――村上水軍の痕跡――美しい島、美しい海)
第十二章 小説の心と体――広島2(火野葦平〈帝釈峡記〉――芸術的な渓谷と馬の尻――庄原と倉田百三――文覚上人と下半身の病――円通寺の竜――瑶泉院の生地――田山花袋〈蒲団〉――そのモデルの故里――小説と紀行の併読――ストーリーとモチーフ)
引用文献・主な参考文献一覧
〈ものがたり風土記〉(既刊)の内容
阿刀田 高 著作・文庫分類目録