書誌情報

集英社文庫

宿無し弘文 スティーブ・ジョブズの禅僧

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著者

著:柳田由紀子

あらすじ・概要

「スティーブは、十日に一度は真夜中までうちにいたわ」と元妻は語った。スティーブ・ジョブズ「生涯の師」で、iPhoneやiPodなどの革新的製品の設計思想にヒントを与えた日本人僧侶・乙川弘文。「日本曹洞宗の明日を担う」とまで期待された彼は、なぜ故郷を捨て、アメリカに渡ったのか? 「あんなに優れた禅僧はいない」と激賞する人がいる一方、「女にだらしない、酒浸りの男だった」と批判する人もいる。そして、スイス山奥での突然の死。“禅道無宿”、自ら願って地獄に堕ちた彼は高僧か? 破戒僧か? 関係者の証言から不可解なその死の謎に迫る渾身のノンフィクション。

プロローグ
ハングリーであれ、愚直であれ
旅I
第一章 激賞と酷評と
賢者であり未熟な少年
釈迦をひたむきに学び、真実に生きる
僕はあの人、感心しません
旅II
第二章 生い立ちから渡米まで
あらゆる罪を犯し、血みどろになった私
晴れやかなおとなしさ
泥池に咲く蓮華
あんなに純粋な禅坊主
風性常住、これいかん
旅III
第三章 アメリカで、ジョブズと出逢う
渡米直後の引き籠もり事件
禅で力を得た戦士
スティーブは、僕の家で日本に出逢った
何かといえば「レッツ・ゴー・シー・コウブン!」
五年目の変調
思い出しても言えないわ
旅IV
第四章 追うジョブズ、追われる弘文
衆生無辺誓願度
これが悟りの証拠だ
スティーブの細部に禅を見た
禅から学んだ引き算的思考
私は禅僧ではない、仏教の僧侶だ
禅とは掃き清めること
旅V
第五章 ジョブズと離れヨーロッパへ
この世にいることに敬意を抱くこと
あえて申せば弘文禅
エンジョイ禅!
犀の角の如く独り歩め
彼女は精神の危機にあった
旅VI
第六章 最後の日々
茶室の出来事、走るばかりが人生じゃない
禅の老師はいつだってミステリー
できることなら父とも呼びたくない
旅VII
第七章 乙川弘文の地獄と手放しの禅
願って地獄に堕ちる
手放しの禅
エピローグ
煩悶の果てに天真にまかせる
ジョブズが惹かれた〈泥中の蓮〉と〈慈悲心〉
ジョブズが、禅と弘文から学んだこと
心に血を流し、行かんところへ行くばかり
旅 最終章