2025.08.18

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耳で楽しむオーディオブックなど、読書の選択肢を広げる「OTOコンテンツプロジェクト」

読書バリアフリーの啓蒙活動を行うプロジェクト

オーディオブックの自社制作や読書バリアフリーの啓蒙活動に注力

紙の本では読めない・読みづらい人に配慮した本の形態を“アクセシブル・ブックス”といいます。集英社のアクセシブル・ブックス推進チーム「OTO(オト)コンテンツプロジェクト」は、目ではなく耳を使った読書手段を提供し、その楽しみ方の領域を広げるべく、集英社創業100周年記念企画の一環として、2022年10月に有志社員5名で発足しました。

集英社は年間億単位の本を出版していますが、アクセシブル・ブックスの一形態である耳で聞くオーディオブックのリリースは、プロジェクト発足当時、わずか数十タイトルほど。そのすべてがライセンスを許諾して外部で制作されたもので、販売も制作元のサイトに限られていました。

そこで、書店サイトを含めより多くの配信サイトで販売できるよう、まずはオーディオブックの自社制作を強化。さらに二つ目の軸として、障がいの有無にかかわらず読書に不便を感じている方や忙しい現代人に向けて、“音”に代表される読書の手段を提案していけるよう、社内セミナーの開催などを通じて、読書バリアフリーの啓蒙活動に力を入れています。

話題作や人気作を続々とオーディオブック化

ジャンルや気分に合わせて選べるオーディオブック

2025年6月時点で、自社制作26作品、ライセンスアウト108作品で合計134作品と、着々と数を増やしてきた集英社のオーディオブック。JUMP j BOOKS『SPY×FAMILY 家族の肖像』(原作・遠藤達哉 小説・矢島綾) を皮切りに、『ラブカは静かに弓を持つ』(安檀美緒・著)、『地面師たち』(新庄耕・著)、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆・著)など、マンガ作品のノベライズや映像化された文芸作品、話題の新書やノンフィクションなど幅広いジャンルで展開しています。

アニメやラジオドラマとは異なる、オーディオブックならではの“朗読”という体裁で、それぞれの作品の世界観を大切にしながら、耳を通じた読書の楽しみ方を広げています。『わたしに会いたい』の西加奈子氏や『みどりいせき』の大田ステファニー歓人氏ら、著者からも、完成したオーディオブックにポジティブな反応をいただいています。

このような流れは2023年に『ハンチバック』(文藝春秋・刊)で芥川賞を受賞した市川沙央氏が、読書バリアフリー推進を訴えたことがきっかけのひとつ。オーディオブックをはじめとする読書のバリアフリー化に、著者や編集者の関心が増したことも「OTOコンテンツプロジェクト」の活動の後押しとなっています。

ウェブアクセシビリティ対応の「集英社OTOコンテンツ」サイトをオープン

「集英社OTOコンテンツ」サイト・TOPページ

8月18日には「集英社OTOコンテンツ」Webサイトがオープンし、集英社のオーディオブック作品一覧を設け、検索や購入先となる音声配信プラットフォームへの誘導ができるようになりました。また、あらゆる利用者がこのサイトの情報やサービスを利用できるよう、集英社として初めて「ウェブアクセシビリティ」に対応したデザインに。今後は読書バリアフリーに関する記事も掲載予定です。

https://oto.shueisha.co.jp

耳を使った読書は、紙、電子に次ぐ新しい手段。オーディオブックをあたりまえの選択肢にしていくため、そして特定の方法に限らず様々な選択肢を追求し、読書の楽しさを一人でも多くの人たちに広げていくために、これからも「OTOコンテンツプロジェクト」は活動を続けてまいります。

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