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集英社インターナショナル
天気予報はなぜ当たるようになったのか(インターナショナル新書)
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あらすじ・概要
私たちの生活に欠かせない「天気予報」はどのように作られているのか? 気象の予測技術開発、国際協力業務、「線状降水帯」の情報発表に取り組んできた元気象庁長官の著者が、その裏側をわかりやすく解説する。予報の精度が上がっている理由は? 防災気象情報に込めた思いとは? 猛暑は地球温暖化のせいなのか? 「AI予報」で気象庁はどうなる? 身近だけれど、実は知らないことだらけの「天気予報」のしくみがわかる!
目次
はじめに
第1章 天気予報はなぜ当たるのか
当たるようになった天気予報
天気への関心
物理の法則と数値予報
解けない方程式
解けないけれども答えを出す
リチャードソンの夢
数値予報モデルとその開発
地球全体の大気を格子状に分ける
数値予報の精度向上
大砲の弾と台風の風
積乱雲はやっかいもの
「大気の状態が不安定」とは?
予測の出発点となる初期値
さまざまな気象観測データ
仮想大気に観測データを取り込むデータ同化
数値予報と予報官
数値予報の誤差をどうするのか
アンサンブル予報という技術
降水短時間予報
ひとつ目のいいとこ取り
ふたつ目のいいとこ取り
予報官による仕上げ
変わる予報官・変わる気象台
第2章 気象情報で命を守れ
防災関係者の願い
防災気象情報と避難情報
5つの警戒レベル
まずはリスクの把握を
いざというときにどうするか
レベル5を待つな
警戒レベルに相当する防災気象情報
「キキクル」を覚えてほしい
警戒レベルに相当しない情報
伝える相手に合わせたさまざまな情報提供
気象庁の緊急記者会見
台風接近が見込まれるとき
市町村長とのホットライン
気象庁防災対応支援チームJETT
警戒レベルのおさらい
第3章 防災気象情報の舞台裏
2004(平成16)年のふたつの集中豪雨
台風が10個上陸
避難の課題
政府が取った対策
気象庁の情報は使えるか?
ガイドラインに示された改善の方向性
気象庁の決意
雨量から災害の起こりやすさへ
精度向上を活かした情報の改善
特別警報の開始
社会に育ててもらった特別警報
視覚に訴える
顔の見える関係
平成30年7月豪雨
5段階の警戒レベルの導入
避難すべき状況なのに避難しない理由
「空振り」をおそれるな
予測の正しさと「空振り」
オオカミ少年を防ぐために
さらにわかりやすい情報を目指して
第4章 線状降水帯予測への挑戦
やまない大雨
積乱雲が連なる線状降水帯
予報官泣かせの線状降水帯
有名になった「線状降水帯」
この言葉で命を守れ
発生したら瞬時に伝える
「顕著な大雨に関する気象情報」
線状降水帯が発生したら
予測への挑戦
声援を力に
予測をどう伝えるか
ゴーサイン
前提条件を整える
評価はこれから
切り札は次の「ひまわり」
第5章 地球温暖化をどう伝えるのか
最近の気象はおかしいか
地球温暖化とは
真鍋博士のノーベル賞
世界で進む研究
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)
IPCCによる最初の報告
疑う余地がない温暖化
地味だが大事な観測の継続
猛暑は地球温暖化のせいなのか
将来はどうなるのか
温暖化をなるべく抑える
もうひとつの難しさ
気候変動枠組み条約
京都議定書からパリ協定へ
避けられない温暖化への適応
情報の不確実性
科学的・中立的な情報提供
第6章 天気に国境はない
気象の現場のふたつの時計
世界のデータを使う気象業務
視野を広げて見えた気象の法則
国際協力のはじまり
IMOから世界気象機関(WMO)へ
天気に国境はない
観測データの国際交換
広がる国際協力
気象人同士の交流
日米でそっくりだった防災業務
ガーナのウィルソンさん
JICA集団研修
バングラデシュのシャミームさん
先進国と開発途上国のギャップを埋める
世界に貢献する「ひまわり」
効果的な支援のために
すべての人に早期警戒システムを
息の長い取り組みに
第7章 気象データは誰のものか
気象ビジネス
無料・無制約のデータ交換
気象業務の商業化
WMO第12回総会決議40
守られた信頼関係
天気予報の自由化
官民の役割分担
気象庁のデータの提供
気象予報士
広がる気象ビジネス
国際データ交換のその後
第8章 これからの天気予報
天気予報にもAI
数値予報の総本山とAI
大手IT企業の先行
AI予報の教師データ
AI予報でいいのか
気象学は終わらない
数値予報の行方
予報官の役割
精度向上への期待
世界の潮流IBF
ビジネスのIBF
防災におけるIBF
日本の経験を世界に
おわりに
参考文献