書誌情報
集英社インターナショナル
一億総貧困時代
著者
あらすじ・概要
性的虐待の果て、父親の子どもを産んだ女性。長年の介護生活の果て、両親とともに死のうと川に車で突っ込み、娘だけが生き残った「利根川一家心中事件」。介護離職から路上へ、そして支援者となった男性――。ごく一部の富裕層を除き、多くの人々にとってすでに他人事ではない「貧困/自己責任大国」日本の現実とその構造を、さまざまな「当事者」たちへの取材を通して、平易な言葉であぶり出す。疲弊する個人と社会に、今、どんな処方箋がありうるのか。<貧困問題>を10年以上にわたりさまざまな角度から追ってきた著者による、いままさに、切実な1冊。超格差・超高齢化社会の中で、今後、必然的に<弱者>となる多くの私たちは、どう生き抜くことができるのか? 奨学金、ブラック企業、性産業、そして原発事故や外国人労働者問題など、現代のこの国に潜む、あらゆる「貧困」に斬り込んだ渾身の一冊。
まえがき
1 「お父さんの子どもを産みました」――虐待の末、路上に辿り着いた女性
2 子どもの虐待と〈貧困〉――見えない孤立と声なきSOS、その傍らで
3 介護離職から路上へ、そして路上から支援者へ――親の介護から人生が一変して
4 「生き残ったのが、父じゃなくて私で良かった」――〈利根川一家心中事件〉裁判傍聴で明らかになったこと
5 スーパーグローバルな「おせっかいおばちゃん」――この国で生きる外国人を支える人々
6 原発避難者の今――「原発はもう安全」というストーリーが生み出す〈貧困〉
7 学生が1600万円以上の借金を背負うシステム――奨学金破産1万人・日本の特殊な現状
8 〈アリさんマークの引越社〉、その「アリ地獄」的実態――剥き出しの悪意と人権侵害の企業で闘う
9 性産業はセーフティネットたり得るか――「風俗」と「福祉」を繋ぐ〈風テラス〉の試み
10 人の命を財源で語るな――〈生存権裁判〉が問いかけるもの
11 〈相模原障害者施設殺傷事件〉を受けて――〈スーパー猛毒ちんどん〉と、ALS患者たちの生きる実践
〈座談会〉それでも私たちは生きていく――30代男女に聞く「非正規労働者」の現在・過去・未来
あとがき
