書誌情報
集英社新書
アメリカのプロレスラーはなぜ講道館柔道に戦いを挑んだのか 大正十年「サンテル事件」を読み解く
著者
あらすじ・概要
一九二一年三月、講道館の嘉納治五郎の制止を振り切る形で柔道家と米国の強豪プロレスラーが靖国神社境内にて相まみえた。試合後に嘉納が門下生に処分を科して幕引きとなった一連の出来事は、「サンテル事件」と呼ばれる。本書はまず二〇世紀初頭に米国で人気を博した異種格闘技の興行に遡り、なぜ「サンテル事件」に至ったのかを明らかにする。それは同時に、やがてアントニオ猪木の異種格闘技戦が大きな流れをつくり現在のMMA(総合格闘技)に到達する原点ともなった、この歴史的一戦の意義を問い直す試みである。プロとは、興行とは、真剣勝負とは?
まえがき 歴史の中の異種格闘技戦
第1章 二人の柔術家、一人の柔道家――排日運動と異種格闘技戦
コラム1 職業レスリングからプロレスリングへ
第2章 ふたつの敗北、二様の意味――日系社会と柔術家・柔道家
コラム2 写真で読み解く異種格闘技戦
第3章 相次ぐ挑戦、レスラーの彷徨――西海岸から内陸部へ
コラム3 〈博覧会キング〉の大風呂敷
第4章 シリアスな試合、娯楽としての興行――1921年の日本社会と異種格闘技戦
コラム4 住もうと八百長
第5章 不可能性と無意味性――「サンテル事件」の顛末
コラム5 『武侠世界』からみた「サンテル事件」
あとがき
