花陽の医大受験に加えて、家族の引っ越しが相次ぐ堀田家。一方、我南人のバンドは闘病中のボンと共に、長くあたためていたアルバム制作に取り掛かる。さらに、花陽とボンの息子・麟太郎に恋の予感が…?

〈東京バンドワゴン〉シリーズも今回で十三作目になりました。いつも同じような言葉でしか感謝を表せないのが歯痒いのですが、こうしてシリーズを続けることができるのも〈堀田家〉にたくさんのLOVEを送ってくれる読者の皆さん、そして応援してくれる日本中の書店さんのお陰です。本当にありがとうございます。
 十三作目になる今回の新刊のタイトルは『ヘイ・ジュード 東京バンドワゴン』です。いつも通りに、前々作である『ザ・ロング・アンド・ワインディングロード 東京バンドワゴン』のすぐ何日か後からの堀田家の四季の出来事を追う〈本編〉です。
(前作『ラブ・ミー・テンダー 東京バンドワゴン』は番外編です。シリーズは〈堀田家の今〉を描く〈本編〉が三編続き、〈主に過去の時代の堀田家〉を描く〈番外編〉を一編挟むという形で今まで続いています)。
 本編はいつもビートルズの曲名がタイトルで、二作目である『シー・ラブズ・ユー 東京バンドワゴン』以降は、その曲が物語全体のイメージでありテーマになったりもしています。
 今回のタイトルである名曲『ヘイ・ジュード』の歌詞の内容は、大人の男が若い男性を励ますようなものになっています。ビートルズ関連の本を紐解くと、この曲は当時離婚をしたジョン・レノンの息子であるジュリアン・レノンを励ますために、ポールらが〈心を強く持てば、きっと何かも上手く行くさ〉と謳った歌である、などとされています。
 僕はこれを〈父親から息子への歌〉と解釈し、今作では〈父と息子〉を一貫したテーマにしました。
〈堀田家〉はもちろんのこと、その周りの登場人物たちにも、もちろん父親がいてそして息子がいます。勘一は父親であり、我南人はその息子であり、紺の父親でもあります。我南人という強烈な個性の持ち主を父に持った紺もまた、研人の父親です。  親子といえども、その人生はそれぞれのもの。
 親は、子供が幼いうちにはこの子の将来に明るい未来を与えてやりたいといろいろと考えますが、自我というものを持ち始めた子供たちは親の思いや意図などおかまいなしに、自分で自分の生き方を探し始めるものです。どれほど時代が変わろうとも思春期に訪れる反抗期というものは、それを如実に表しているものかもしれません。
 そういう時期を経て、やがて子供も大人になり親は年を重ね、それぞれに人生に訪れる最期の別れの時。
 今回は、今まで積み重ねてきた堀田家とその周りの皆の日々の中で、ある人たちの〈父と子の別れの時〉がたまたま重なることになりました。
 その静かな別れの時と、受け継がれていく魂。そして未来に託す希望と、若者が抱く将来の夢。そういうものを、いつもの騒がしいドタバタよりは少しばかり静かに、しっとりとした物語に編んでみました。もちろん、堀田家当主の勘一は湿っぽい話が大嫌いですから、その中でも賑やかな騒ぎも、そして嬉しい出来事も起こります。
 いつも最後の一文に書くように、この物語は〈ホームドラマ〉です。大きな事件も深い教訓も何もありません。どこかにいてくれたら楽しい家族と、そこに集う人たちの、ちょっと愉快な日々を描くだけの物語です。
 読み終わって、「あぁおもしろかった!」と、そして「明日も頑張ろう!」と思ってくだされば、作者としてそれほど幸せなことはありません。

花陽の医大受験に加えて、家族の引っ越しが相次ぐ堀田家。一方、我南人のバンドは闘病中のボンと共に、長くあたためていたアルバム制作に取り掛かる。さらに、花陽とボンの息子・麟太郎に恋の予感が…?

〈東京バンドワゴン〉シリーズも今回で十三作目になりました。いつも同じような言葉でしか感謝を表せないのが歯痒いのですが、こうしてシリーズを続けることができるのも〈堀田家〉にたくさんのLOVEを送ってくれる読者の皆さん、そして応援してくれる日本中の書店さんのお陰です。本当にありがとうございます。
 十三作目になる今回の新刊のタイトルは『ヘイ・ジュード 東京バンドワゴン』です。いつも通りに、前々作である『ザ・ロング・アンド・ワインディングロード 東京バンドワゴン』のすぐ何日か後からの堀田家の四季の出来事を追う〈本編〉です。
(前作『ラブ・ミー・テンダー 東京バンドワゴン』は番外編です。シリーズは〈堀田家の今〉を描く〈本編〉が三編続き、〈主に過去の時代の堀田家〉を描く〈番外編〉を一編挟むという形で今まで続いています)。
 本編はいつもビートルズの曲名がタイトルで、二作目である『シー・ラブズ・ユー 東京バンドワゴン』以降は、その曲が物語全体のイメージでありテーマになったりもしています。
 今回のタイトルである名曲『ヘイ・ジュード』の歌詞の内容は、大人の男が若い男性を励ますようなものになっています。ビートルズ関連の本を紐解くと、この曲は当時離婚をしたジョン・レノンの息子であるジュリアン・レノンを励ますために、ポールらが〈心を強く持てば、きっと何かも上手く行くさ〉と謳った歌である、などとされています。
 僕はこれを〈父親から息子への歌〉と解釈し、今作では〈父と息子〉を一貫したテーマにしました。
〈堀田家〉はもちろんのこと、その周りの登場人物たちにも、もちろん父親がいてそして息子がいます。勘一は父親であり、我南人はその息子であり、紺の父親でもあります。我南人という強烈な個性の持ち主を父に持った紺もまた、研人の父親です。  親子といえども、その人生はそれぞれのもの。
 親は、子供が幼いうちにはこの子の将来に明るい未来を与えてやりたいといろいろと考えますが、自我というものを持ち始めた子供たちは親の思いや意図などおかまいなしに、自分で自分の生き方を探し始めるものです。どれほど時代が変わろうとも思春期に訪れる反抗期というものは、それを如実に表しているものかもしれません。
 そういう時期を経て、やがて子供も大人になり親は年を重ね、それぞれに人生に訪れる最期の別れの時。
 今回は、今まで積み重ねてきた堀田家とその周りの皆の日々の中で、ある人たちの〈父と子の別れの時〉がたまたま重なることになりました。
 その静かな別れの時と、受け継がれていく魂。そして未来に託す希望と、若者が抱く将来の夢。そういうものを、いつもの騒がしいドタバタよりは少しばかり静かに、しっとりとした物語に編んでみました。もちろん、堀田家当主の勘一は湿っぽい話が大嫌いですから、その中でも賑やかな騒ぎも、そして嬉しい出来事も起こります。
 いつも最後の一文に書くように、この物語は〈ホームドラマ〉です。大きな事件も深い教訓も何もありません。どこかにいてくれたら楽しい家族と、そこに集う人たちの、ちょっと愉快な日々を描くだけの物語です。
 読み終わって、「あぁおもしろかった!」と、そして「明日も頑張ろう!」と思ってくだされば、作者としてそれほど幸せなことはありません。