受賞作『光点』山岡ミヤ

【梗概】

 「いつからあんたはそんなに偉いの?」。わたしは母のことばに反することなくうなずいた。
 弁当工場で働く実以子(わたし)は休みの日に、隣町で見しらぬ女を連れた父にでくわす。その日を境に実以子は、「八つ山」と呼ばれる誰も来ない町の裏山で〈祈るかたち〉をこころみるようになる。それは祈りでなく、祈るからだの行為そのものだった。
 そこにカムトと名のる青年があらわれる。「ぼくはさ、神さまを信じてないんだよ」。実以子とカムトは八つ山にある、カムトがヤシロと名づけた場所で過ごすようになる。
 父との結婚についてや自分が生まれた経緯を母から明かされるにつれ、傷ついてゆく実以子。ある日家を飛びだした実以子は、暗がりのなか八つ山に登るが、〈祈るかたち〉のためでなく、ヤシロへと真っすぐにすすむ。そこにはカムトが横たわっていた。
 「カムトがいたら、伝えようと思って、来たの」。ランタンで地面を照らすカムトにむかって、実以子はことばを放つ。ひそやかな場所で求める小さな光とそのゆくえとは。


【著者プロフィール】

・氏 名
・生年月日
・現住所

山岡ミヤ(やまおか・みや)
1985(昭和60)年11月6日
神奈川県