受賞作『天龍院亜希子の日記』安壇美緒

【梗概】

 人材派遣会社で働く二十七歳の田町譲は、職場の班内が穏やかでないことを気にしていた。同期で仲の良いふみかと、先輩で一児の母である岡崎の折り合いが悪いのだ。どちらとも関係の良い田町にはそれが歯がゆい。同時に田町は、プライベートでも悩んでいた。恋人の早夕里が、病に倒れた父の看病のため、地元の静岡に帰って以降、急に結婚の話を持ち出したのだ。結婚どころか、元々良い関係性とは言えなかった彼女の変化に、ついていけていない。
 一方その頃、元プロ野球選手・マサオカの薬物スキャンダルに日本中が沸いていた。
 田町には日課がある。小学校の同級生、天龍院亜希子のブログを読むことだ。地味で暗い女子だった天龍院を、田町は当時からかった記憶しかなかった。しかしその日常を忘れさせてくれるような静かな日記が、どうしてか田町の支えになっていた。昔、会ったこともない甲子園のヒーロー・マサオカが田町の支えであったように――。


【著者プロフィール】

・生 年
・出身地
・最終学歴

1986年
北海道函館市
早稲田大学第二文学部卒業