佳作『地に満ちる』竹林美佳

【梗概】

 長い間カナとヤノ氏は結婚していた。しかし赤ん坊の死をきっかけに離婚し、カナは三五歳で一人暮らしを始める。カナは不妊治療を行うクリニックに勤め体外受精の仕事に携わりながら、故郷の姉や睡眠セラピストの目森(めもり)さんと交流を続ける。足音も立てず、反復する日常に身を沈めてひっそりと暮らすカナに、目森さんは言う。「大事なものを全部失くしても、きみは絶対に進んでるんだ」。
 夢の中で、あるいは現実に、失った赤ん坊とヤノ氏の姿を追い求めながらカナは歳を重ねる。あるときには仕事を辞め、あるときには男たちに求婚する。様々な人が傍を通り過ぎて消える。
 誰とも結婚することなくカナは五四歳になり、閉経をむかえる。いまだに赤ん坊の幻を追いかけ、胸を悲しみで満たしながらも、カナは彼女自身の道を歩いている。


【著者プロフィール】

・氏 名
・生年月日
・現住所

竹林美佳(たけばやし みか)
1983年(昭和58)年4月22日 神奈川県生まれ
東京都江戸川区