受賞作『温泉妖精』黒名ひろみ

【梗概】

 美しい姉の陰に隠れて育ち、気づけばコンプレックスだらけになってしまった二十代女性・絵里。姉は家を離れ、母は亡くなった。父とも疎遠になった。独りになった彼女はついに美容整形に踏み切る。二重幅を広くし、鼻を高くし、憧れの外国人風の顔にさらに近づくための資金を捻出するべく介護施設での仕事に勤しんでいる。無心で働く日々のなかで、唯一の趣味が「温泉巡り」だ。
 愛読するハンドルネーム・ゲルググの激辛温泉批評ブログを頼りに、絵里はとある旅館にたどり着く──外国人のふりをして。旅館『花』で「エリザベス・リンチ」を名乗る絵里を迎えたのは、祖母に代わって宿を切り盛りするアンナと、嫌味ったらしい中年男性客・影だった。ブログの情報とは明らかに異なるさびれた宿で、絵里は驚きの入浴体験をすることに。しかしこの風呂、そして影が、くすぶっていた絵里を思わぬ方法で勇気づけることになるのだ。


【著者プロフィール】

・氏 名
・生年月日
・現住所

黒名ひろみ(くろな ひろみ)
1968(昭和43)年2月4日 香川県生まれ
香川県高松市