『八月の青い蝶』周防 柳 受賞作

【梗概】

 東京のホテルに勤務するきみ子は、末期白血病の父親・宍戸亮輔の在宅看病をするため、故郷の広島県に帰省する。そして、退院してくる亮輔の居室の準備をするなかで、仏壇の奥から翅が少し焼けた古いチョウの標本を発見する。それは六十五年前に亮輔が経験した哀しい記憶の形見であった。
 ときは太平洋戦争末期の昭和二十年。広島の中学一年生だった亮輔は、陸軍航空の軍人として出征中の父親・強の年若い愛人・希恵に恋をする。二人は「昆虫好き」という共通項がとりもつ縁で交わりを深め、八月六日、秘密の場所にチョウの羽化を見にいく約束をする。しかし、当日亮輔は学徒動員のために待ち合わせ場所へ行くことができなかった。
 そして、離れ離れの頭上に原子爆弾が落ちる。亮輔は太田川に落下してからくも助かるが、希恵の安否が分からない。亮輔は地獄のごとく変わり果てた光景のなか、熱線で溶けた身体を引きずりながら希恵との待ち合わせ場所へと向かう――。

八月の青い蝶

【著者プロフィール】

・本 名
・生年月日
・出身地
・職 業
・最終学歴

非公開
1964(昭和39)年12月21日
東京都練馬区
ライター・編集者
早稲田大学第一文学部哲学科卒業