「赤と白」櫛木理宇

【梗概】

 新潟県の雪深い田舎町に住む高校生の小柚子と親友の弥子。小柚子は、幼い頃に母の恋人からいたずらされた経験が心の傷となり、いつしか母に隠れて飲酒にふけるようになっていた。一方、弥子は同居する引きこもりの叔父の存在を隠していた。いつかは叔父の面倒をみなければならないという将来に絶望していた。
 冬のある日、小柚子と弥子は、小学生の時に引っ越していった友人・京香と再会する。京香には勝気な双子の姉・百香がいたが、今は体を壊して入院しているという。昔とは別人のように堂々とした京香を見て、あれは本当は百香なのではないか、と小柚子はおびえる。小柚子は百香に、男にいたずらされた経験を話したことがあったのだ。
 しかし、その少女は京香本人だった。百香と京香は先天性腎疾患を持つ兄のため、ドナーとして生まれた子だった。百香は兄に腎臓を提供し、予後不良となって寝たきりになった。そして兄は、妹の腎臓を奪ったことに耐え切れず自殺した。京香に全てを聞かされた弥子は共感し、自分の秘密も打ち明ける。二人の仲は急速に接近していく。小柚子は、弥子と京香が自分に隠れて会っていることを知り、疎外感を感じる。弥子から離れ、クラスメイトの苺美とばかり過ごすようになる。苺美は同級生の少年・慎に片思いをしていた。彼と知人だった京香に嫉妬した苺美は、ストーカー行為をエスカレートさせていく。
 ある夜、町で大規模な停電が起こる。母の新たな恋人に体を触られた小柚子は、家に駆け込み、いつものように酒に逃げる。その頃、弥子の家では、停電をネット解約だと勘違いした叔父が暴れていた。弥子は止めようとするが、もみあう内に叔父が階段から転落してしまう。動転し、小柚子の家に向かった弥子が見たのは泥酔した親友の姿だった。
 弥子に見られてしまったことに絶望する小柚子。そこに、慎に拒絶されて半狂乱になった苺実が訪れた。小柚子、弥子、苺美。少女たちの歪んだ感情が交錯し、停電の夜に惨劇が起こる。

BOOKNAVI
 

【著者プロフィール】

一九七二年新潟県生まれ。
「ホーンテッド・キャンパス」で
第25回日本ホラー小説大賞読者賞を受賞。