「桐島、部活やめるってよ」朝井リョウ 受賞作

【梗概】

 バレー部のキャプテン・桐島が突然部活をやめた。そのことによって、同じ高校に通う五人の学校生活に小さな、しかし確かな波紋が広がっていく。
 バレー部補欠〈小泉風助〉は、キャプテンの桐島が部活をやめたことでレギュラーになれたが、喜ぶ自分に戸惑いを感じ、試合でミスを連発してしまう。途中、ベンチにいたからこそ試合全体を観察できていた過去の自分の意味に気が付き、だから桐島は補欠の自分にアドバイスを求めたのだと悟る。過去を肯定できた彼は、桐島が戻ってくるまでは自分がボールを繋ぐことを決意する。
 ブラスバンド部〈沢島亜矢〉は、桐島の友達・竜汰に恋をする。竜汰は部活中の桐島を待つため校庭でバスケをしており、亜矢は音楽室からその姿を毎日見ていた。しかし、友人の志乃から竜汰の恋人の存在を知らされる。傷心の亜矢は竜汰を思い出さないように一人で音楽室中のカーテンを閉める。
 映画部〈前田涼也〉は地味で目立たない。映画賞を獲って表彰されるが、それすら同級生に笑われてしまう。そんな涼也は、かつて映画を通して仲良くなったかすみに恋心を抱いていた。ある日、バレー部の桐島の不在等の偶然が重なり、かすみの所属するバド部を撮影することになる。涼也は映画を撮り続けることで自分の思いを伝えようと決意する。
 ソフト部〈宮部実果〉は実父と義姉・カオリを事故で失う。そのショックで義母は実果のことをカオリだと思いこむようになり、義母が一緒にいたいのはカオリの方だったと気づいた実果は、深い悲しみを抱く。実果は部活後、桐島の恋人と互いの彼氏を待っていた。少しでも長い時間「実果」でいたい実果は、なるべく家に遅く帰るようにしていたのだ。しかし、ある日ふとしたことから義母の「実果」への愛情を知り 涙を流す。
 野球部ユーレイ部員〈菊池宏樹〉は優れたルックス、運動能力で学校でも目立つ存在だ。必要な時だけ野球部の試合に出場し、友人の桐島や竜汰達と騒がしい日々を送っていたが、桐島が部活を辞めたことを聞いて戸惑い、訳もなく苛立つ。そして、自分にはない強い光を放ってレンズを覗く映画部の姿を見て、本気で何かに取り組むことから逃げていた自分に気づく。
 至る所でリンクする、五人の物語。十七歳が踏み出す一歩は、世界を跨ぐほど大きい。


桐島、部活やめるってよ 朝井リョウ
 

【著者プロフィール】

・生年月日
・現住所
・出身地

一九八九年(平成元年)五月三十日
東京都練馬区
岐阜県不破郡