『蛇衆(じゃしゅう)』 矢野 隆

【梗概】

 室町末期、筑後と肥後の国境に接する山に囲まれた鷲尾領では水面下で当主、鷲尾嶬斬の家督争いが激しさを増していた。気弱な兄、弾正と、冷静ながら、傲慢さが表に現われる隆意。しかし、実は嶬斬の子は二人だけではなかった。三十年前に、自らの手で殺害を命じた赤子がいたのだ。巫女によって、父親殺しを予見された呪われた赤子が。
 そんな鷲尾の地を、荒喰と呼ばれる傭兵集団、蛇衆が訪れたことから事態は動き出す。
 銭によって、雇い主を決める蛇衆は、頭目の朽縄をはじめとする六人が目ざましい働きを見せた。そして、蛇衆は他の地へ行こうとするが、鷲尾領を出る許しが得られない。それは、朽縄が、実は殺されたはずの嶬斬の子ではないか、という噂が流れ、嶬斬が調べ始めていたからだった。二人の息子には、どこか頼りないところがある。一方、己を殺すかもしれないと予言された息子がたくましく生きていたようだ。強い者だけが生き残る世で、何とか朽縄を鷲尾家に引き入れられないか。嶬斬の策略によって、蛇衆は朽縄だけが鷲尾家に入れられ、残りの人間は、再び自由の旅に出た。
 それから一年半、鷲尾家では、くすぶっていた家督争いがいよいよ表に現われてきていた。そんな中、鷲尾源吾という名前をもらい、微妙な立場に立たされていた朽縄は一つの決断を下す。それは、己が蛇衆の雇い主になる、ということだった。

 

【著者プロフィール】

・本 名
・生年月日
・現住所
・出身地
・最終学歴

矢野 隆(やの・たかし)
1976年(昭和51年)4月26日
福岡県久留米市
福岡県久留米市
日本デザイナー学院卒