【梗概】

 文禄二年。朝鮮出兵の本営・肥前名護屋城で能興行が催されていた。歩き巫女をしていた母に捨てられ、女猿楽を売りとする源八一座に拾われたちほは、見事な舞を披露し、秀吉から喝采を浴びる。
 その頃、都の芸能の中心地として活況を呈する五条河原で、天下一の三味線弾きを目指す藤次郎は、出雲のお国一座の笛役者である小平太と出会う。藤次郎も一座に加わるが、貴顕の庇護を得ようとするお国一座の方向性に反発し、小平太とともに追い出されてしまう。
 二人は、誰にも媚びない自由な一座を作ろうとメンバー探しを始めた。ほどなくして、九条河原で太鼓を打ち鳴らしていた元奴隷の黒人弥介を仲間に加える。ある日、藤次郎は荒くれ者に追われていた少女と出会う。源八一座解散後、借金のかたとして遊女屋に売られたちほだった。四人は一座を結成し、諸国巡業に出る。
 その後、再び都に上った一座は芝居小屋を営む林又一郎をプロデューサーに迎えた。ちほの踊りと型破りな演奏スタイル、反体制的な言動でたちまち評判を集めていくが、方向性の違いで藤次郎と対立した小平太が一座を去ってしまう。
 一方、民衆への支配強化を目論む石田三成は、河原芸人たちに圧力を加え始める。最初の標的にされたのが又一郎の小屋だった。河原を追われた藤次郎たちは、かねてから一座に興味を抱いていた秀吉の甥、豊臣秀次の庇護を受ける。
 だが、ほどなくして、秀吉との対立を深めていた秀次は失脚し、高野山で切腹させられる。秀次の領国尾張に下っていた一座は、その報せを聞いて急いで都に引き返す。
 文禄四年八月三日。秀次の妻子三十余名の処刑が三条河原で行われた。目の前で繰り広げられる惨劇を目にしたちほは、とり憑かれたように踊りだす。秀吉の残虐性を告発するその踊りに、藤次郎と弥介、そしてその場に居合わせた小平太も演奏を始める。彼らの踊りと音楽に触発された群集が暴徒と化し、刑場は大混乱に陥る。思わぬ再会を果たした一座だったが、三成が放った豊臣の軍勢に追いつめられてしまう。

 

【著者プロフィール】

・本 名   天野純希 (あまの・すみき)
・生年月日  1979年(昭和54年)9月19日
・現住所   愛知県名古屋市
・出身地   愛知県名古屋市
・職 業   フリーター
・最終学歴  愛知大学文学部卒


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