著者インタビュー 若い読者が手にとりやすい「入口」を作る

 等身大の少年や少女たちが特殊な能力を持った主人公として出てくる物語に、最初に触れたのはいつだったかと考えると、子供の頃に見たNHKの少年ドラマシリーズだった気がする。第一回目が筒井康隆の『時をかける少女』を原作とした『タイム・トラベラー』、他にも眉村卓の『なぞの転校生』などが放送され、すっかり夢中になった。何に惹かれたのかと振り返ると、ストーリーの巧みさ以上に、当時の自分たちにも似た、登場人物たちの抱える思春期の孤独だった。

 ACT—3でいよいよ完結した『ストレイヤーズ・クロニクル』の醍醐味は、大人の都合で能力者として生み出された少年少女たちのバトルをスピード感溢れる文体で描き、コミックや映像作品に勝る世界観を作り出したことに思える。例えばマーベル・コミックを原作とした映画「Xメン」シリーズの中でも子供たちを主人公にした傑作『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』に近い感覚。

 だがこの小説を覆う抒情性と切なさは、アメコミ的なざっくりとした味わいとは違う。これも映画になったカズオ・イシグロの小説『わたしを離さないで』を思い出した。そこでは臓器提供者として死を前提として生まれた子供たちの青春群像が【翳/かげ】りのある風景の中に描かれていた。他人の都合で疎外されたように生きなければならない子供たちの孤独と運命という点で似ている。ただ、前者の主人公たちは自分たちの運命に諦念があるのに対して、『ストレイヤーズ〜』は、運命に対して抗い戦う主人公グループと、運命を諦めながらも最後の希望を仲間の少女に託そうとするもう一方の能力者たちが拮抗する劇として描かれていく。

 主人公たちは七転八倒しているし、悩んでいる。僕たちに近い。僕たちの人生と近い。ただ人間は、世界の秘密を知りたいという欲望だけあるのに年だけ取ってしまう。

 激しく、切なく、最後に託される希望。まだまだ青春の物語を読める幸福がここにある。