SPECIAL 02

コンテンツの新しい価値を育てる。

女性誌発の新しいWebメディア

「体・心・性」によりそう
ウェルネスサイト「yoi」

担当編集者対談

2021年9月にローンチしたウェルネスサイト「yoi」。きっかけは、ひとりの社員から生まれた素朴な疑問でした。発案から立ち上げにいたるまでのエピソード、そして目標などを、プロジェクトを中心になって進めている2人の編集者に聞きました。

yoi事業室 編集主任

2009年入社。外国語学部卒。モア編集部にて美容特集やインタビュー企画、ライフスタイル記事など多くのページを手掛ける。2021年6月からyoi事業室の編集主任をつとめ、プロジェクトを牽引している。

yoi事業室

2017年入社。外国語学部卒。ノンノ編集部にてビューティ、芸能、読み物など幅広く担当。yoiプロジェクトを発案し、2021年10月よりyoi事業室に。

「yoi」(ヨイ)ってどんなメディア?

20~30代の女性に向けた集英社初のウェルネスサイト。名前の由来は、自分自身(Ⅰ)についてできるだけ正しく、より深く知るきっかけになり、大切なあなた(You・子ども、親、パートナー、友人など)のことも知ることができる、そしてYou とI が出会い、つながることができる私たち(Our)の場でありたいという意味をこめて、それぞれの頭文字をとったもの。
友人や家族とはなかなか話しづらい「体・心・性」について、困ったり誰かに相談したいときに、頼りになるメディアを目指す。優しく、おしゃれなデザインでビジュアル構成にもこだわりが光る。コンセプトムービーは企画に賛同してくれた、アーティストのCharaさん・モデルで俳優のSUMIREさん親子、ガールズバンドCHAI、作家で俳優の山田由梨さんらも登場。

「yoi」のサイトはこちら

CHAPTER 01「正確でおしゃれで面白いウェルネスメディア」をつくりたい!

まずは「yoi」が生まれた経緯を教えてください。

種谷
はい。私は入社以来、ノンノ編集部で働いてきましたが、いろいろな企画を担当するなかで、とくにWebにおいて、体や心といったトピックが読者にとって関心が高いものであることを実感していました。私自身も30代を目前にし、これからの自分自身の働き方や、体の変化について考えていたタイミングでもあって。「自分の体や心や性を大事にしながら生きていく」というテーマに、もっと深く向き合いたい、長年、様々な年代の女性読者と向き合ってきた集英社だからできることがあるのではないかと思ったんです。そんなときに社内の「企画提案ボックス」の存在を思い出しました。

部署の垣根を超えて、企画を公募しているメールアドレスですね。

種谷
はい。うっすらと「あるな」ぐらいの認識だったんですけれども。ちょうどフェムテックの話題が伸びていたこともあり、企画を書いて、自分自身のモヤモヤとした気持ちを葬り去るつもりで、送ってみました。そうしたら20分後に社長室室長から「受け取りました」という返信がきて。まず、「読んでくれる人がいた!」と、驚きが(笑)。そこから話し合いを重ねて、新規事業として立ち上げが検討され、女性誌からマンガ、文芸に至るまで広く部署を横断した委員会がつくられました。それが昨年の秋でしたね。

高戸さんが委員会のメンバーになったのは、そのタイミングだったんでしょうか?

高戸
はい。じつは私は、もともと自己啓発休業という社内制度を利用して、ビジネス留学をしようとしていたんです。入社してから10年以上モア編集部にいて、おもに美容を中心に記事をつくっていくなかで、これからの時代は、美容、ファッション、ライフスタイルなどコンテンツカテゴリーの垣根がどんどん取り払われていくだろうと感じていました。さらに紙、Webといったメディアの枠に縛られることなく、もっと広い視点から、コンテンツビジネスに携わっていきたいと考え、海外での学びを決めて社内の承認も進んでいたんです。ところが2020年からのコロナ禍で、留学スケジュールの延期を調整していたときに、上司からこの委員会への参加を打診されました。

種谷さんは自分の企画が新規事業としてスタートしたことにどう思いましたか?

種谷
最初は驚きでした。完全に提出した時点で満足していたので(笑)。そのときに書いた「正確でおしゃれで面白い、女性の体と生理と性のためのWebメディア」という軸自体は大きくは変わっていませんが、その後、高戸さんや委員のみなさんに出会い、幾度となく話し合いを続け、現在の形になるまでにさまざまな方向からブラッシュアップしていきました。

CHAPTER 02社内を広く横断してプロジェクトがスタート

女性誌、そして女性誌以外の部署のメンバーも含めて、
委員会ではどんな話し合いをしていきましたか?

委員会のメンバーは、女性誌各誌に加えて、文芸誌、マンガ誌の編集者も参加。現在は月2回の定例会議を開き、各自記事制作も担当している。

高戸
そうですね。まずキックオフミーティングでは、熱い挨拶が交わされました。特に長年、女性誌に携わってきた各雑誌の先輩編集者のみなさんは、現状の課題を踏まえた新しいプロジェクトへの具体的なイメージを持っている方も多くて。種谷さんとも、そこで初めて話したんだよね。
種谷
はい。
高戸
女性誌は各編集部ごとに動いているので、他の編集部で働いている人と意見交換をする機会って、意外に少ないんです。だから年齢や部署を超えて「体・心・性」というひとつのテーマについて話し合えたのは新鮮でした。
種谷
そうですよね。それに集英社では10代から50代以降の各年代の女性に向けて情報を発信し続けてきて、そこに対するフィードバックの蓄積もある。これまでのデータがあり、それを元に未来に向けて話し合えることが、集英社の財産だなと感じられました。また、「yoi」はオリジナル記事だけでなく、集英社の各誌に掲載したウェルネス記事を転載するポータルサイトとしての側面も持っています。丁寧に取材してつくられた「体・心・性」に関する記事をまとめて読むことができるのも、強みのひとつです。
高戸
私はモアの編集者として読者層である20代女性のライフスタイルに特化して向き合ってきたのですが、委員会でミーティングを重ねるうちに、30代、40代、50代……と、その世代ごとの女性達が抱える性や健康への意識への学びがありましたね。例えば私はいま30代ですが、50代以上の方が購読層である「éclat」や「MyAge」で取り上げている、更年期や閉経は、いずれ自分にも関わってくる問題でもありますし。同時に、部署を超えて話し合うことで、これまで知らなかった異なる部署の皆さんの活躍ぶりを目の当たりにし、尊敬の気持ちも起こりました。「yoi」という名前も、委員会のメンバーでさまざまな案を挙げ、コンセプトやキャッチフレーズとともに熟考を重ねて練り上げ、名づけました。最初の一石を投じてくれた種谷さんに共鳴した委員会のメンバー全員の知見とアイデアで、「yoi」はどんどん形づくられていったんです。

部署を超えたブレインストーミングのような状態から、
「yoi」をより若い世代に向けたサイトとしてアプローチするに
至った理由はなんでしたか?

種谷
2021年の年明けに「Seventeen」から「éclat」、「MyAge」まで幅広い世代の女性誌各誌でウェルネス大アンケートというものをとりました。1万人以上の方が回答くださったのですが、その結果、世代によって「体・心・性」の意識にかなりバラつきがあることがわかったのです。
高戸
そうなんです。あらゆる世代のコンテンツを発信していく「yoi」のコンセプトに変わりはないですが、婦人科にかかったり自分の体について正しい情報を得て行動する意識が高まる「MORE」や「LEE」世代以上の読者に比べて、10代、20代前半の読者は「体・心・性」という分野のリテラシーが十分に行き渡っていないことがわかったんです。そもそも、関心があっても人に相談しづらかったり、Web検索などでは信頼性の高い内容かどうか見きわめにくい。そんな現状が課題として浮き彫りになりました。
種谷
「non-no」でも性に関する特集は昔からありますし、Webでもとても読まれているコンテンツなんです。ということは、それだけその世代が、ちゃんとした情報を求め続けている証拠でもあって。
高戸
本当にそうですよね。ちょうど就活生とも重なる年代だと思うのですが、ここ1、2年の間でも、採用面接の場で、「若い世代のためのジェンダーレスなファッション特集をつくりたい」、「10代の読者の子たちに向けて、メンタルヘルスの記事を企画したい」と言ってくれる方々が増えてきました。ますます、この世代の「体・心・性」への意識の高まりを感じますし、よりよいコンテンツを提供していく必要性を感じていて。そこでつくり手である私たちも「面白い!」と思える、日常的に楽しみながら自然と「体・心・性」に関心が高まるサイトをつくっていこう、ということになりました。

集英社の女性誌10媒体により、10代~70代まで1万人以上の意見を集めたウェルネス大アンケート。その結果をまとめている連載記事が「yoi VOICE」。第1回目は生理のトラブルに関する調査を発表。

仕事にプライベートにと日々忙しい委員会のメンバーたちが「体」「性」「Life」「culture」などを切り口に、心身がより伸びやかになれるお気に入りグッズを、個人的におすすめ中。

CHAPTER 03サイト始動、そして
今後の展開と目標

サイトの概要が決まった後は、
ローンチまでにどんなことを
していましたか?

高戸 委員会でのミーティングはもちろん、それ以外にも、種谷さんとは二人だけで話し合う時間は長かったですね。会議室を貸し切り、時間も区切らずに延々とアイデアを出し合い、それについて考え続けていました。

種谷
もう、めっちゃしゃべってましたね~(笑)。
高戸
知り合ったのは昨年末なのに、あまりにも二人だけで相談していた時間が長すぎて、3年ぐらい一緒にいるような感じです(笑)。
種谷
私はいいと思ったら真っ直ぐ突き進むタイプなんですが、高戸さんはいろんな視点から物事を捉えられる編集者。企画を進めるうえで、ブレーンとしてチーム全体の指揮を執ってくれました。それでいて、2人とも好きなものにはあまりズレがなかったのも幸運でした。
高戸
そう。私たちの「これいいね、おもしろいね!」という感覚が近かったことに加え、一度決めたら終わりではなく、何度も話し合いを繰り返して細かいイメージも共有していったからこそ、その後のビジュアルづくりもやりやすかったですね。
さらに、サイトを立ち上げるうえで、尽力したのは、「yoi」の制作に協力していただく社外の方々に「yoi」というプロジェクトや私たちの思いについて伝えていく過程でした。何しろゼロからのスタートでしたから。それでも皆さん、「すごくいい!」とおっしゃって応援してくださったのはうれしかったですね。特にティザー(お試し版)の段階から企画に理解を示して、動画制作に参加してくださったアーティストやクリエイターの皆さんにはとても感謝しています。

新しいことを始めるやりがいや苦労はありましたか。

種谷
そうですね。これまでの女性誌でも、企画出しや各自が担当するテーマでは自由な発想を発揮できる場所はたくさんありましたが、枠組み自体を、自分たちでつくれるのは新鮮です。一方、「non-no」や「MORE」は、どちらも既に長い歴史を持ち、先輩たちが築いてきた実績があるので、コンテンツをつくるうえで、対外的にも、信頼感をベースに仕事を進めることができましたが、「yoi」は形がない状態からすべてを説明して、色んな方からの応援をいただかなくてはならなかったので、その点はとても大変だった気がします。
高戸
種谷さんも私も、集英社の女性誌という恵まれた土壌で雑誌をつくってこられたからこそ、新たなプロジェクトである「yoi」でもその経験を存分に活かせていると思います。
種谷
私も「non-no」にいたことで、読者にとっていま何を届けるべきなのかを常に考える習慣が身についたし、その思考方法は「yoi」で新しいコンテンツをつくる際にも指針になっています。

サイトが始動した現在の活動は? また、どんな課題が見えてきましたか?

種谷
企画を考え、記事を制作し続けるのは、これまで所属していた編集部とはあまり変わりません。「yoi」はウェルネス関連の読み物が中心になるので、「生理の日のモーニングルーティーン」に焦点を当てた動画や、「性」についてああでもない、こうでもないと話し合う動画など、いろいろなコンテンツがあるのでぜひ観ていただきたいですね。今後はコミックやエッセイなども充実させていく予定です。あくまでも切り口は幅広く、そして楽しく! エンタメ性を大事にしている、総合出版社の集英社ならではの強みや、部署同士の横の連携も活かしていきたいです。そのうえで「コンテンツの認知度をどう高めるか」にも今後は注力していきたいです!
高戸
そうですね。良質な情報を提供している自信はあるので、Webメディアとしてどれだけ支持してもらえるか、という次なる大きな課題が見えてきました。SNSから記事への導入施策も積極的に行なっていますが、本当に自分に必要なサイトだと思ってもらえれば、月に一度、週に一度、通勤通学時間に毎日、など定期的に「yoi」を訪れる習慣を身につけてもらえるかもしれない。私たちとしてはそれぐらい、「体・心・性」のことといえば「yoi」と、読者の方に信頼してもらい、かつ生活に密着する存在を目指しています。
動画コンテンツであれば、寝る前のひと時に観たり、部屋の中で何かしながら、ラジオのように聴いてもいいですし。占いのコンテンツは毎週月曜日更新なので、一週間のはじまりに“エンパワメント”として、チェックしてもらいたいですね。読者の方のライフスタイルに寄り添うサイトになるためにも、いまはより多くの人に「yoi」との接点を持ってもらう仕組みづくりが大事な時期だと実感中です。

企画会議で委員会メンバーからの提案が多かった「生理の日の過ごし方」。そこで生理中にどのように生活しているか紹介する連載が誕生。第一回はエンパワメントメディア「BLAST」と、フェムテックブランド「Nagi」の立ち上げで注目されている、石井リナさんのルーティーンや愛用品を紹介。

“エンパワメント”とは、これまで埋もれていた個々の魅力を肯定し、社会に自己の能力を表現していく考え方。「yoi」ではカルチャー紹介や占いなど様々な角度から、日々のエンパワメントを後押しする記事を発信中。

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