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少年ジャンプ
編集部

門司 健吾

2009年入社

PROFILE

入社以来、少年ジャンプ編集部に所属。現在の担当は『僕のヒーローアカデミア』、『HUNTER×HUNTER』。
入社以来1.5倍になってしまった体重をどうにかしようと最近ジムに入りました。

『僕のヒーローアカデミア』担当編集者インタビュー

マンガ編集の現場から

マンガ編集者の普段の仕事とは? マンガ家さんとのかかわりは? 「週刊少年ジャンプ」の誇る大ヒット作品『僕のヒーローアカデミア』の担当編集者が、知られざる現場の裏側エピソードを紹介します。

『僕のヒーローアカデミア』
(堀越耕平著)

2014年、「週刊少年ジャンプ」にて連載開始。何の能力も持たずに生まれてきた少年・緑谷出久が最高のヒーローになるまでの道のりを描くアクション作品。2016年4月に第1期、2017年9月に第2期TVアニメが放送された。アニメは大好評を博し、第3期の制作も発表されている。

———まずは、マンガ編集者の普段の仕事内容を教えてください。
門司:大きく分けると、2つの仕事があります。ひとつは“マンガ”をつくるという仕事、もうひとつは“雑誌”をつくるという仕事です。“マンガ”をつくるという仕事は皆さんがイメージするように、マンガ家さんと打合せをしてお互いの意見を交換しながら、より良い作品をつくっていくというマンガ編集者にとって最も大切な仕事です。そして、ただマンガをつくるだけではなく、同時に「週刊少年ジャンプ」という“雑誌”をつくらなくてはなりません。完成したマンガ原稿に文字の指定などを行ない印刷会社に入稿したり、マンガ以外の記事ページを作成したり、間違いがないか校正をしたりして、一冊の“雑誌”をつくりあげていきます。この2つが、マンガ編集者の基本の仕事ですね。
———『僕のヒーローアカデミア』の担当者としての心構えなどはありますか?
門司:作者の堀越先生が生み出した面白いアイデアを読者の皆さんにどう“わかりやすく”伝えるか、ということには気をつかっています。ですので、「ここを直したほうが、先生の描きたいことが伝わるのでは?」という打合せは多いですね。堀越先生はディテールまでこだわるタイプの作家さんで、実際にそれがとても効果的に活きることが多いのですが、逆にこだわりすぎた結果、ストーリーや展開が少しややこしくなってしまう場合もあるんです。“こだわり”と“わかりやすさ”の線引きをするのは、客観的に作品を見ている私の役割だと考えています。ただし、私の意見を押しつけすぎても仕方がないので、うまい落としどころを先生と話し合っています。
———堀越先生とのやり取りで、心に残っているエピソードはありますか?
門司:じつは私は『僕のヒーローアカデミア』の連載が会議で決定したあと、実際に本誌に掲載されるまでの間に担当となったので、おそらく堀越先生はすごく不安だったはずなんです。「この段階で急に担当者が替わるの?」と……。お互いに「大丈夫かな?」と感じながらのスタートだったかもしれません。それでも二人でいろいろと試行錯誤して、人気も上昇気流に乗って、「楽しくなってきたな~!」と思い始めたころでしょうか。コミックス第4巻の<アシスタント紹介>のページに、先生が私の名前を載せてくださったんです。「担当編集 門司さん “個性”『一緒につくっている』 アシスタントじゃないけどここに書くぞ!」と。それを目にしたときは、「先生に信頼されているのかな」とうれしくなったのを覚えています。
———TVアニメ化が決まったときの心境はいかがでしたか?
門司:本誌の読者アンケートでも人気がある作品だったので、いずれアニメになるだろうとは思っていました。でも、いざアニメ化の話が来ると意外と実感が湧かず……。「堀越先生、喜んでくださるだろうな」くらいでしたね(笑)。プロモーション映像ができて、主人公・緑谷出久の動く姿を観て、ようやく感動がこみあげてきました。

TVアニメは幅広い年代から支持を集め、『ヒロアカ』のさらなるヒットの引き金となった。

©堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会

———アニメ化が決まったあと、仕事にはどのような変化がありましたか?
門司:単純に仕事量は増えました(笑)。例えば、監督さんやプロデューサーさんたちと脚本の内容を精査する“本読み”や、アニメ関連グッズのデザイン監修などです。私自身が、アニメイベントへの出演依頼を受けたこともありましたね。
———マンガ編集者の醍醐味を教えてください。
門司:いろいろな意味で“うまくいった”ときは、すごく気持ちがいいですよ。連載を目指す新人さんとだったら、一緒にあれこれ悩んでつくりあげた読切マンガがジャンプに掲載され、読者アンケートでも良い結果が出たら、言うことはありません。連載マンガだったら、ストーリーの展開が狙いどおりにうまくハマって、それが読者からの大きな反響として返ってきたときは最高の気分です。でも一番の醍醐味は、マンガ家さんがこちらの想像の上をいくものを描きあげてきたときでしょうか。打合せで「こうしたら面白くなると思います」と軽く提案しただけなのに、マンガ家さんは、編集者の期待を遥かに超えるものを描きあげてくれることがあるんです。さすがに毎回のことではありませんので、それに立ち会えたときの喜びはひとしおですね。堀越先生とのおつきあいのなかでも、幾度となくそんな経験があります。最近ですと、コミックス第11巻のオールマイトVSオール・フォー・ワンの戦いのシーンですね。盛り上がる場面なのは当然わかっていたので、「アツい感じに描いてくださるだろうな」と思っていたのですが、予想よりもずっとずっとアツかった! ネームを読んだときは、素直に「スゲー!」と感激しました。
———最後に、就職活動中の皆さんへのメッセージをお願いします。
門司:私が就職活動をしていたときは、「数枚の紙きれと10分、20分の会話だけで何がわかるんだよ!」なんて思っていましたが(笑)、よくよく考えてみるとマンガと同じなんです。1話目がつまらないマンガを「3話目から面白くなります」と言われたとしても読まないですよね。「全部読んでもらえばわかります」というのは、マンガの世界では甘えです。皆さんもいま、「1話目を出してください」と言われているところだと思いますので、その1話目に自分の考える面白い材料をすべて詰め込めんで臨めば、おのずと求める結果が得られるのではないでしょうか。大変だとは思いますが、体に気をつけながら頑張ってください。応援しています。