「サラの柔らかな香車」橋本長道 受賞作

【梗概】

 プロ棋士になる夢を断念した「私」は、二人の女性の指す奇跡の将棋を、小説として書き綴っていく。この二人―萩原塔子とサラ――は、将棋の世界において、真の「才能」をもつ者たちだった・・・・・・

 かつて将棋棋士をめざし、今はパチプロとして生計を立てている二十六歳の瀬尾は、金髪碧眼のサラという少女と出会う。ひたすらに単語をつぶやきながらブランコをこぐ不思議な少女には、将棋の才能が秘められていた。それに気づいた瀬尾は、彼女に将棋を教えるようになる。じつは瀬尾は、現在女流プロとして無敵を誇る萩原塔子と十代の頃、切磋琢磨した仲。一緒にプロ四段を目指そうと、塔子にプロポーズまでしていた瀬尾だったが、彼女が女流プロへ突然転身したことで、疎遠になっていたのだ。
 将棋の駒やその動きに色や景色を見るという特殊な才能をもつサラは、瀬尾の下で将棋の才能を開花させる。そして小学生女子名人戦で、天才少女と名高い北森七海と対局し、勝利を収めた。塔子に憧れて女流プロを目指していた七海だったが、この敗北により、その夢をあきらめ、表舞台から立ち去る。
 将棋を始めてわずか三年という奇跡的な早さで女流プロになった十四歳のサラは、ついに塔子に挑戦する。眼病を患い、失明寸前の塔子は、引退を覚悟して勝負に挑む。瀬尾から離れ女流プロに転身したのも、この眼病が理由だったのだ。対局中に塔子は視力を完全に失い、サラに敗れてしまう。しかし光を失った中でも新しい将棋の可能性に気づいた塔子は、瀬尾たちに背中を押され、将棋を続ける決意をした。
 一方、将棋を辞めたかに見えた七海は、じつはインターネット将棋で腕を磨いていた。そしてサラと塔子の対局をネットで観戦した彼女は、サラに再び挑戦。プロ棋士になると宣言する。


「サラの柔らかな香車」橋本長道
 

【著者プロフィール】

・本 名
・生年月日
・現住所
・出身地
・職 業
・最終学歴

橋本長道(はしもと・ちょうどう)
一九八四年(昭和五十九年) 五月七日
兵庫県小野市
兵庫県
無職
神戸大学経済学部卒業