【梗概】

 この国を絶望的な〈灰色の冬〉が覆い、経済は極度に疲弊、思想と行動美学を失った人々が根無し草のようになっていくなか、曙光のような二つの現象が生じる。一つは、北陸地方で生起した〈土踊り〉と呼ばれる、奇跡的なほど高質な踊り。〈土踊り〉はマスコミの揶揄を受けながらも、人々の潜在的な夢を取り込んで勢力を拡大していく。もう一方は、機能的な文明から離れ、九州で野や山とともに生きたいと願う者たちの入植生活。彼ら〈入植者〉たちは、少人数での原始的な生活を体現し、苦難を越えながら強く連帯し合っていく。

 かつては〈土踊り〉の踊り手であり、現在はそれを棄てた入植者でもある主人公は、対立する二つの現象の狭間で苦悩し、〈土踊り〉が入植地に入ってくるのを恐れながら、自然の中での温かな生活を送りつづける。そしてある日、この国の大部分を手中にし、圧倒的な力を得た〈土踊り〉の大波が、とうとう入植地に迫ってくる……

 

【著者プロフィール】

・本 名   非公開
・生年月日  1977年(昭和52年)10月5日
・現住所   大阪府吹田市
・出身地   和歌山県新宮市
・職 業   会社員
・最終学歴  和歌山工業高等専門学校卒業